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東京高等裁判所 平成5年(行ケ)150号 判決 1995年11月29日

東京都中央区日本橋本町二丁目2番6号

原告

東京田辺製薬株式会社

代表者代表取締役

野部晃司

訴訟代理人弁護士

渡邊敏

同弁理士

松山直行

野上敦

東京都千代田区霞が関三丁目4番3号

被告

特許庁長官 清川佑二

指定代理人

大高とし子

鐘尾宏紀

市川信郷

土屋良弘

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、平成4年審判第5136号事件について、平成5年7月15日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文と同旨

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和61年7月24日、名称を「夕顔食品及びその製造法」とする発明(以下「本願発明」という。)につき、特許出願をした(昭和61年特許願第172792号)が、平成4年1月27日に拒絶査定を受けたので、同1年3月25日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を同年審判第5136号事件として審理したうえ、平成5年7月15日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年8月4日、原告に送達された。

2  本願の特許請求の範囲の記載

(1)  一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性、水分含量が8%以下であることを特徴とする夕顔食品。

(2)  食品の形状が帯状、粉状、顆粒状又は錠剤である特許請求の範囲第(1)項記載の夕顔食品。

(3)  スライスした夕顔果肉を水分含量50%以下に乾燥し、乾燥物を殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、次いで水分含量が8%以下になるまで乾燥することを特徴とする夕顔食品の製造法。

(4)  殺菌が蒸気圧0.2~0.4kg/cm2、殺菌時間5~20分間にて行う蒸気加圧殺菌である特許請求の範囲第(3)項記載の製造法。

(5)  殺菌がアルコール添加量15~150g/kg(夕顔乾燥物)、殺菌時間1~30日間にて行うアルコール殺菌である特許請求の範囲第(3)項記載の製造法。

3  審決の理由

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明の要旨を上記特許請求の範囲第1項及び第3項記載のとおりと認定し、本願発明は、特開昭57-33539号公報(以下「引用例」という。)に記載されている事項と周知の干ぴょうの製造法及び乾燥食品の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決には、特許法159条で準用する同法50条に違反する手続違背があり(取消事由1)、また、本願発明の要旨を誤認し(取消事由2)、さらに本願発明の進歩性についての判断を誤ったものであり(取消事由3)、いずれにしても違法として、取り消されなければならない。

1  取消事由1(手続違背)

本願における拒絶理由通知書(甲第4号証)には、拒絶の理由として、特開昭57-33539号公報を引用例として挙げ、本願発明は、引用例発明から容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとし、「記」として、引用例には、「干ぴょうの水分を20%程度にして保存することが記載されている。」(以下「追記1」という。)、「一方、食品の保存性は、乾燥の程度及び付着菌数の多少により変化することは周知である(必要なら、木村進著“乾燥食品”光琳全書6(株)光琳書院p175昭和41年参照)。」(以下「追記2という。)、「従って、本願発明は上記燻蒸しない干ぴょうの保存性を高めるため、周知の保存手段を適用したにすぎない。」(以下「追記3」という。)、「なお、アルコール、又は蒸気殺菌処理は当業界における常套の手段にすぎない。」(以下「追記4」という。)と記載されている。

この理由では、追記3の「周知の保存手段」が何を指しているのかが不明確であり、原告(出願人)としては、明確な防御がとれない。けだし、上記周知例として挙げられた文献の該当箇所には、周知の保存技術手段が記載されているのではなく、技術手段による処理を経た効果あるいはその状態が記載されているにすぎないからである。

したがって、原告(出願人)としては、拒絶理由の趣旨は、本願発明と引用例記載の発明との同一性が論点であると解釈せざるをえず、意見書(甲第5号証)を提出し、本願発明と引用例記載の発明との差異に重点を置いて反論を加え、併せて、本願発明の各構成の困難性、本願発明の殺菌条件は一定の限定条件が必要である旨を反論した。

ところが、審査官は、拒絶査定(甲第6号証)においても、拒絶理由通知書記載の理由を維持し、備考欄に、「一般的に水分含量8%以下の乾燥食品においては微生物の生育は起こり得ないが、衛生的な見地から、製品中の微生物の数を減少させるか完全に殺菌することも当業界における常套手段にすぎない(必要なら、木村著“乾燥食品”光琳全書6(株)光琳書院p.190~194参照)」と記載したのみで、上記意見書に記載された本願発明と引用例記載の発明との構成の違いについて特段の反論を加えていない。

そして、審決は、本願発明と引用例記載の発明の両者の課題の同一及びスライスした夕顔果肉を乾燥して水分含量を低水分とした夕顔食品である点に一致点を求め、本願発明の重要な構成要件については周知技術及び常套の技術手段の組合せであるとして、進歩性を否定した。

このように、本願の審査手続においては、拒絶理由とこれに対する意見書との「ずれ」について何ら考慮せずに、拒絶査定をしたのであり、審判手続においても、この「ずれ」を解消するために拒絶理由を発する必要があるのにこれを放置し、また、本願発明の重要な構成について周知技術の組合せによる進歩性の否定をする以上、この周知技術の内容を拒絶理由に開示して、原告(出願人)に意見聴取の機会を作るべきであるのにこれをせず、審決に及んだものである。

このような拒絶査定及び審決は、原告(出願人)から反論あるいは補正の機会を奪うものであって、特許法50条に違反する手続違背がある。

2  取消事由2(本願発明の要旨の誤認)

審決は、本願発明の要旨を特許請求の範囲第1項及び第3項記載のとおりと認定したが、誤りである。

審決も認めるとおり、本願発明は、夕顔果肉の乾燥物を硫黄燻蒸を施さない殺菌方法により殺菌することが必須である。

しかも、本願明細書(甲第2、第3号証)には、本願発明の夕顔食品の製造法に関する説明の部分で、夕顔食品を天日等の乾燥工程を経た後、「つづいて、蒸気加圧殺菌又はアルコール殺菌の殺菌工程を経て、再度熱風乾燥、減圧乾燥などにより水分含量を8%以下とし、必要に応じて所望の形状に調製する。」として、蒸気加圧殺菌又はアルコール殺菌以外の殺菌法が一切記載されておらず、本願の特許請求の範囲第1項及び第3項との関係では、殺菌方法について限定的な記載となっている(甲第2号証明細書5頁16行~6頁4行)。そして、これに続き、蒸気加圧殺菌法につき、「蒸気圧0.2~0.4kg/cm2、殺菌時間5~20分間の条件下において行う。この条件設定の根拠は、蒸気圧が0.2kg/cm2未満においては殺菌に長時間を要し、夕顔中の水分含量が高い場合には水溶性栄養分が溶け出し、性状もゲル状になり黄変してしまい、また、0.4kg/cm2を越える蒸気圧においては殺菌時間のコントロールが難しく、同様に水溶性栄養分が溶け出し、かつ黄変してしまうためである。」(同6頁6~14行)として、蒸気加圧殺菌は、特許請求の範囲第4項記載の条件で行うことが記載され、それ以外の記載はない。これに続く、アルコール殺菌の説明においても、「アルコール添加量が夕顔乾燥物1kgに対して15~150g〔15~150g/kg(夕顔乾燥物)〕であり、殺菌時間が1~30日間である条件下において行う。・・・この条件設定の根拠は、アルコール添加量が15g/kg未満ではほとんど殺菌効果が認められず、また、150g/kgを越える量においてはアルコール可溶性成分が溶け出してしまうからである。」(同6頁16行~7頁7行)として、アルコール殺菌は、特許請求の範囲第5項記載の条件で行うことが記載され、それ以外の記載はない。

そして、原告足利工場技術部生産技術課勝沼英一作成の実験報告書(甲第18号証の1、以下「本件実験報告書」という。)に示すとおり、蒸気加圧殺菌については、本願の特許請求の範囲第4項の、また、アルコール殺菌については、同第5項の条件による製造法のみが、特許請求の範囲第1項及び第3項の「一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性」との要件を満たし、本願明細書に記載されている本願発明の効果である「本発明の夕顔食品は一般生菌数が著しく低減し、大腸菌群、サルモネラが陰性であり、・・・6ケ月経過後も性状、品質に変化を及ぼさない・・・。帯状、板状として、また、粉状、顆粒状、錠剤など必要に応じた形状に調整して食することができる」(同17頁下から7行~18頁1行)との点を達成でき、この条件から外れるものは、この要件を充足せず、上記効果も奏しないことが明らかである。

以上の本願明細書の記載及び本件実験報告書の結果から、本願発明の要旨は、以下のとおりと認定しなければならない。

(A)スライスした夕顔果肉を水分含量50%以下に乾燥すること

(B)この乾燥物を硫黄燻蒸を施さない蒸気加圧殺菌であって蒸気圧0.2~0.4kg/cm2、殺菌時間5~20分間の条件、又は、アルコール殺菌であって、アルコール添加量15~150g/kg(夕顔乾燥物)、殺菌時間1~30日間の条件により殺菌すること

(C)この結果、この殺菌により、一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とするものであること

(D)この殺菌したものを水分含量が8%以下になるまで乾燥すること

以上により、審決の本願発明の要旨の認定は、本願発明の実質を見ることなく、特許請求の範囲の記載の形式にとらわれた認定であって、誤りというべきであるから、審決は取消を免れない。

3  取消事由3(進歩性の判断の誤り)

本願出願前には、干ぴょうの製造法に関して、硫黄燻蒸殺菌以外の殺菌方法は存在せず、また、干ぴょうを2段階乾燥すること及び殺菌した干ぴょうを水分含量を8%以下にする方法も実施されていなかったことは、審決も認めるとおりである。

同様に、乾燥させた干ぴょうが一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性となっているものも、本願出願前には存在しなかった。

この三つの点について、審決は、殺菌手段、乾燥手段、滅菌状態がそれぞれ周知であることをもって、当業者が容易に想到できるとしたのは、論理に余りにも飛躍がある。

すなわち、引用例記載の発明は、単に殺菌手段を採らないだけであり、積極的に硫黄燻蒸方式以外の殺菌手段を施したものではなく、本願発明の上記構成(A)及び(D)のような2段階の乾燥工程を行うものではなく、(B)の構成はなく、(C)のような細菌の死滅状態に関する開示もない。(D)との関連でいえば、水分含量も異なる。このように引用例には、本願発明の構成は何ら記載されていない。このようなものは、引用例としてそもそも不適当であり、それだけでもっても、審決の違法は明らかである。

両者の効果の違いも明白である。引用例記載の発明においては、殺菌を全く行っていないので、好気性菌の生育は抑制されるが、嫌気性菌は依然として残存しており、その干ぴょうは衛生上問題が多く、また、引用例記載の発明は冷凍食品には適用できない。これに対し、本願発明の優れた効果は、上記のとおりであり、本願発明は、酵素的変化のみならず、非酵素的変化についても、品質の変化が生じない効果を奏しており、水分含量が8%以下について、初めて非酵素的変化も生じないことを発見したのである。

審決及び被告が周知例として挙げる「乾燥食品」光琳全書6(甲第10号証190頁)の記載は、いわゆる酵素的変化のみにつき、水分含量8%以内であると変化が起きない旨を記載しているに止まる。

このように、本願発明は、従来実施されていなかった上記三つの点を複合的に組み合わせた発明であって、その効果も顕著であり、当業者が容易に想到できるものではない。

したがって、本願発明が引用例記載の発明と周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとする審決の判断は誤りであり、審決は違法として取り消されなければならない。

第4  被告の反論の要点

1  取消事由1について

本願の拒絶理由通知及び拒絶査定における拒絶の理由が原告主張のとおりであることは、認める。

これら拒絶の理由の記載から明らかなように、審査の過程において、審査官は、一貫して、引用例に記載の干ぴょうを主引例とし、乾燥の程度、付着菌数については、乾燥食品において周知の事実であるとし、本願発明は、引用例及び周知の技術から、当業者が容易に発明をすることができたとしたものである。

審決でも、引用例には、「夕顔の実を薄くむき、乾燥して干ぴょうの水分を20%程度にし、硫黄燻蒸しないで保存する干ぴょうが記載されている。」(審決書2頁19行~3頁1行)と認定し、この引用例の記載事項の認定は、拒絶理由通知書の追記1に該当する。

そして、この引用例の記載事項と本願の特許請求の範囲第1項及び第3項記載の発明とを比較して、殺菌処理の点、細菌の死滅状態の点、乾燥度の点を相違点として挙げて、これらはいずれも周知事項から容易にできたものとしたものであり、この相違点についての判断の理由は、拒絶理由通知書の追記2~4、拒絶査定の備考としての記載に該当する。

もっとも、審決において認定した2段階乾燥の点については、拒絶理由通知書及び拒絶査定において触れられていないが、この点は、審決の述べるとおり、本願出願前周知の事項であって、拒絶理由通知書及び拒絶査定において触れられていないことが、実質的に拒絶の理由が示されていないということにはならない。

したがって、審決の理由と拒絶理由通知及び拒絶査定に示した理由との間に「ずれ」はなく、原告主張の手続違背はない。

2  同2について

本願の特許請求の範囲第1項及び第3項の記載を見れば、その記載内容が不明確で発明の要旨を把握できない記載であるということができないことは、明らかである。

そして、特許請求の範囲第1項には、「殺菌」に関する記載は一切なく、同第3項には、「殺菌して」とあるのみで、殺菌手段、殺菌条件について何らの限定もない。したがって、本願発明の要旨を認定するに当たり、原告主張のように、特定の条件で行う蒸気加圧殺菌又はアルコール殺菌と限定することは許されない。

3  同3について

本願の特許請求の範囲第3項記載の発明(以下「本願第2発明」という。)の「スライスした夕顔果肉を水分含量50%以下に乾燥し」との構成は、引用例に記載されている。

この「乾燥物を殺菌して」との構成につき、殺菌手段として具体的な方法は記載されていないが、本願明細書を見れば、本願発明において、従来の硫黄燻蒸処理の代わりに、蒸気加圧殺菌法とアルコール殺菌法が採用できることが理解できる。そして、食品の殺菌方法として、これらの殺菌方法は周知の技術である(乙第2号証・「食品殺菌工学」光琳全書24、5~6頁、乙第3号証・「食料工業」1277頁)から、本願第2発明は、単に常套の殺菌手段を採用したものにすぎない。

「一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし」との構成につき、乾燥食品を製造した場合、衛生的な見地から製品中に存在する微生物の数を減少させるか、完全に死滅させることが要望され、蒸気加圧殺菌等の常套の殺菌処理を施すと、大腸菌、サルモネラ等の微生物が死滅することは周知の事項である(前掲乙第2号証6頁)。食品衛生法においても、食中毒事件票の項目に病因物質として、サルモネラ菌属、病原大腸菌等が挙げられ(前掲乙第3号証1269~1270頁)、各種の食品の規格基準の成分規格に大腸菌群が目安として挙げられている(同1275~1277頁、1283、1285頁)。さらに、生菌数については、食品における微生物の有無に最初に挙げられるものであって、大腸菌群とともに、検査される項目である(前同所、乙第6号証・「食品科学便覧」455頁)。したがって、一般生菌数、大腸菌群、サルモネラに着目し、殺菌によって、上記構成の数値とすることを考えることは格別のことではない。

「水分含量が8%以下になるまで乾燥する」との構成については、「一般的にいって水分含量8%以内においては微生物の生育は起こらず、これによる品質の変化は起こり得ない」(甲第10号証・「乾燥食品」光琳全書6、190頁)ことは、審決も述べるとおり、周知の事項であるから、これを採用することに困難はない。

原告は、水分含量が8%以下について、初めて非酵素的変化も生じないことを発見した旨主張するが、「もともと水分含量の高い乾燥食品は、その水が貯蔵中に各種の反応促進に関係し、品質変化の原因となる.貯蔵中の変質は、大別すると非酵素的変質と酵素的変質とに分けることができる.いずれの場合も変色、退色、異臭の発生、溶解度の変化などをともなう。」(乙第1号証・「乾燥食品」光琳全書6、169頁)ものであって、水分は酵素的変質と非酵素的変質の双方に関連し、「水分含量の多い食品から水を除いて、微生物および酵素による腐敗や変質、および食品の組成成分間の化学反応の進行にともなう変質を防止する」(同1頁)ことは周知であり、野菜の人工乾燥法において、水分を6%まで乾燥する例が既にある(乙第7号証・特開昭50-6738号公報)のであるから、原告の主張は、正当ではない。

本願第2発明の効果につき、周知の蒸気加圧殺菌法によれば、好気性菌あるいは嫌気性菌のような細菌が死滅することは明らかであり、根菜類や果菜類に、蒸気加圧を施した後、さらに水分6%のような低水分に乾燥し粉砕すること、このような方法によれば、原料中の本質的な成分がむだなく利用されると同時に、保存性、加工適性等が向上することも、本願出願前、周知の事項である(前同2頁右下欄4~7行、15行~3頁左上欄3行)から、本願第2発明の効果は予期できる程度のものである。

したがって、本願発明に進歩性がないとした審決の判断に誤りはない。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立については、いずれも争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由1(手続違背)について

(1)  本願の拒絶理由通知書に記載された拒絶の理由が原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

そして、引用例(甲第8号証)には、硫黄燻蒸をしない無漂白の干ぴょう(水分20%)を、脱酸素剤とともに実質的に非通気性の容器内に密封し貯蔵する方法の発明が記載されていることが認められる。

これらの事実によれば、拒絶理由通知において、拒絶の理由とされたところは、追記1記載のとおり、引用例には、「干ぴょうの水分を20%程度にして保存することが記載されている。」ことに基づき、この点が、本願第2発明の「スライスした夕顔果肉を水分含量50%以下に乾燥し」との構成に該当するとし、本願第2発明のその余の構成である「乾燥物を殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、次いで水分含量が8%以下になるまで乾燥する」点は、干ぴょうの保存性を高めるための手段であるとの認識から、追記2及び3記載のとおり、「食品の保存法は、乾燥の程度及び付着菌数の多少により変化することは周知である(必要なら、木村進著“乾燥食品”光琳全書6(株)光琳書院p175昭和41年参照)。」、「従って、本願発明は上記燻蒸しない干ぴょうの保存性を高めるため、周知の保存手段を適用したにすぎない。」としたものと認められる。また、このことからすれば、本願の特許請求の範囲第1項記載の発明(以下「本願第1発明」という。)である「一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性、水分含量が8%以下であることを特徴とする夕顔食品」も、周知の保存性を高める手段を適用して、付着菌数及び乾燥の程度を可及的に低くしたものにすぎないとの判断がされているものと理解できることは明らかである。

さらに、追記4の「なお、アルコール、又は蒸気殺菌処理は当業界における常套の手段にすぎない。」との記載は、本願の特許請求の範囲第4、第5項には、本願第2発明の実施態様項として、蒸気加圧殺菌法又はアルコール殺菌法を採用することが記載されていることを考慮して、念のため、これに言及したものと認められ、この認定を妨げる証拠はない。

原告は、この理由では、追記3の「周知の保存手段」が何を指しているのかが不明確であり、原告(出願人)としては明確な防御がとれない旨主張するが、本願第2発明の上記「乾燥物を殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、次いで水分含量が8%以下になるまで乾燥する」構成は、「殺菌して」付着菌数を可及的に少なくすることと、水分を可及的に少なくするために「乾燥する」ことを規定しているのであるから、追記2と同3の記載を見れば、追記3の「周知の保存手段」が、追記2に記載された「乾燥の程度及び付着菌数の多少」を対象とした手段であることは、当業者にとって十分に理解できることと認められ、そこに、原告主張のような不明確な点はないといわなければならない。

(2)  次に、本願の拒絶査定においても、拒絶理由通知書記載の理由が維持され、備考欄に、「一般的に水分含量8%以下の乾燥食品においては微生物の生育は起こり得ないが、衛生的な見地から、製品中の微生物の数を減少させるか完全に殺菌することも当業界における常套手段にすぎない(必要なら、木村著“乾燥食品”光琳全書6(株)光琳書院p.190~194参照)」と記載されていることは、当事者間に争いがない。

この拒絶査定の理由が、原告(出願人)が拒絶理由通知に対して提出した意見書(甲第5号証)において、本願発明と引用例発明との相違を強調したのに対し、拒絶の理由は、拒絶理由通知書に記載された理由のとおりであるとして、原告(出願人)の上記主張は採用できない旨を示したものであることは明らかである。また、備考欄の記載は、上記意見書における「審査官殿が周知とされる「付着菌数の多少による影響」については、参照例には何らの記載もなくそれを示唆する記載もありません。」(同号証7頁18~20行)との指摘に対して、拒絶理由通知書に挙げた参考例には記載のなかった点にっき、新たに参考例を示して答えたものであることが明らかである。

上記意見書(甲第5号証)には、「夕顔食品にあっては、本願明細書第6頁第5行-同第7頁第7行に記載した条件からはずれた操作条件を用いた場合、蒸気殺菌処理では、水溶性栄養分の溶出、ゲル化、黄変等の問題が発生し、また、アルコール殺菌処理では、殺菌効果、アルコール可溶性栄養分の溶出等の問題が発生することが判明しており、これらのことは実験なくして当業者といえども予測できるものではありません。そしてそれにもまして、夕顔食品においては本願出願前には、硫黄燻蒸殺菌処理以外の方法では、一般生菌数が5×103個以下、大腸菌群及びサルモネラ(原文の「サルモルラ」は、「サルモネラ」の誤記と認める。)が陰性であり、且つ、加熱調理することなくそのまま食することができる安全性の高い食品を当業者も予測していなかったことを重視すべきであります。従って、殺菌操作条件を考慮すれば、本願で用いている殺菌処理は当業界で常套手段と認識されているものではないと確信します。」(同号証8頁16行~9頁13行)と記載されているが、上記「本願明細書第6頁第5行-同第7頁第7行に記載した条件」とは、本願明細書(甲第2、第3号証)に照らせば、本願第2発明の実施態様項として記載されている特許請求の範囲第4項及び第5項の実施条件であり、これをもって、本願第2発明の要旨とすることが許されないことは、後記のとおりであるから、原告(出願人)の上記意見は、本願発明の要旨に基づかない主張として、拒絶査定において採用されなかったことは当然のことであり、ここに原告主張の「ずれ」があるとすることはできない。その他、上記意見書(甲第5号証)及び拒絶査定(甲第6号証)の間に「ずれ」があることは認められない。

(3)  審決においても、引用例には、「夕顔の実を薄くむき、乾燥して干ぴょうの水分を20%程度にし、硫黄燻蒸しないで保存する干ぴょうが記載されている。」(審決書2頁19行~3頁1行)とし、拒絶理由通知書の追記1と同様に引用例の記載事項を認定し、これを本願第1、第2発明と対比して、「両者はスライスした夕顔果肉を乾燥して水分含量を低水分にした夕顔食品である点で一致し」(審決書3頁9~10行)として一致点を認定し、相違点として、殺菌処理、細菌等の死滅状況、二段階乾燥、乾燥度の点を挙げ、これらの相違点は、いずれも食品保存法の周知技術から容易に想到できるものとしていることが認められる。

すなわち、審決においては、拒絶理由通知及び拒絶査定において示された理由に則して、その理由が正当であることを説示しており、その間に齟齬があるということはできない。上記二段階乾燥の点は、審決が相違点として新たに取り上げた点であるが、審決はこれを周知技術であると判断しており、この審決の判断は、後記のとおり、正当として是認できるところであるから、この点につき新たに拒絶理由を通知しなくとも、拒絶の理由につき出願人に実質的に拒絶の理由を示さなかったことにはならないというべきである。

原告は、また、本願発明の重要な構成について周知技術の組合せによる進歩性の否定をする以上、この周知技術の内容を拒絶理由に開示して、原告(出願人)に意見聴取の機会を作るべきであるのにこれをせず、審決に及んだものである旨主張する。

しかし、当業者にとって、拒絶理由通知に拒絶の理由として挙げられた「周知の保存手段」が「乾燥の程度及び付着菌数の多少」を対象とした手段を意味することは十分に理解できることは前示のとおりであるうえ、拒絶理由通知及び拒絶査定において、周知技術を示すものとして挙げられた前示の木村進著「乾燥食品」光琳全書6(甲第10号証)は、当業者であれば容易に参照できる文献であることは明らかであり、これを検討すれば、拒絶理由通知、拒絶査定のいう周知技術の内容は、当業者であれば当然に理解できるものと認められ、これを理解できなかったとすれば、その責は、原告(出願人)自身が負うべきであり、これを審査官に転稼して、自己の懈怠を糊塗することは許されない。

原告の取消事由1の主張は、理由がない。

2  取消事由2(本願発明の要旨の誤認)について

本願の特許請求の範囲の記載が前示のとおりであることは、当事者間に争いがない。

この特許請求の範囲の記載が、本願に適用される昭和62年法律第27号による改正前の特許法36条4項の規定に基づいて記載されたものであり、これによれば、本願においては、特許請求の範囲第1項及び同第3項に「発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項」を記載したものであり、同第2項は同第1項の発明(本願第1発明)の、同第4及び第5項は、同第3項の発明(本願第2発明)の各実施態様を記載したものであることが、明らかである。

したがって、審決が、本願発明の要旨を特許請求の範囲第1項及び第3項記載のとおりと認定したことに、何らの誤りはない。

すなわち、本願第2発明についていえば、その要旨を示す特許請求の範囲第3項には、殺菌に関して、「乾燥物を殺菌して」とのみ記載され、殺菌方法やその実施条件について何らの限定もないのであるから、この要旨によれば、本願第2発明における「殺菌して」は、当該技術分野において周知のものであれば、どのような殺菌方法を、どのような実施条件で用いても殺菌できればよいことを意味することは明らかである。本願明細書(甲第2、第3号証)の発明の詳細な説明には、原告主張の記載があることは認められるが、要旨に示された「殺菌して」を、原告主張のように、「この乾燥物を硫黄燻蒸を施さない蒸気加圧殺菌であって蒸気圧0.2~0.4kg/cm2、殺菌時間5~20分間の条件、又は、アルコール殺菌であって、アルコール添加量15~150g/kg(夕顔乾燥物)、殺菌時間1~30日間の条件により殺菌すること」と限定して解すべき旨を明示した記載はない。

原告の主張は、自らが本願第2発明の実施態様として認め、これを特許請求の範囲第4、第5項に記載した特定の条件下で行う殺菌方法を本願第2発明の要旨と主張するものにほかならず、到底採用することができない。

3  取消事由3(進歩性の判断の誤り)について

(1)  本願第2発明と引用例に記載された事項を対比すると、「両者はスライスした夕顔果肉を乾燥して水分含量を低水分にした夕顔食品である点で一致し、前者では、水分含量50%以下に乾燥したものを殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、水分含量が8%以下のものを得ているのに対して、後者では、殺菌処理を施しておらず、また細菌等の死滅状況についても明らかでなく、そして乾燥処理は殺菌前後の二段階に分けて実施しておらず、乾燥製品の水分含量が20%である点で相違する。」(審決書3頁9~18行)ことは、当事者間に争いがない。

この相違点に係る「殺菌処理」につき、本願第2発明の要旨には、単に「殺菌して」とあるのみであるから、乾燥食品を製造するについて通常使用されている殺菌方法であれば、どのような方法を使用してもよく、その具体的処理条件が特に限定されていないものであることは明らかである。本願明細書(甲第2、第3号証)には、その発明の詳細な説明中に、「本発明の夕顔食品は硫黄燻蒸を施さない無漂白食品であるから硫黄を全く含有しないことも特徴の一つである。」(甲第2号証明細書5頁13~15行)と記載されているが、上記のとおり、本願第2発明の要旨には、殺菌方法として硫黄燻蒸を用いない旨を規定する記載はなく、本願第1発明においては、その要旨に、殺菌すること自体についても、何らの記載がない。

審決は、この点につき、「本願発明も硫黄燻蒸を施さない、所謂無漂白の保存性のよい夕顔食品を提供するものである」(審決書3頁4~6行)と、あたかも本願発明の要旨に硫黄燻蒸を施さない旨が規定されているように述べているが、硫黄燻蒸を施さないことを前提としても、本願明細書の実施例1で用いられている蒸気加圧殺菌は、食品の殺菌方法として、「食品の変敗の主原因であるところの微生物を死滅させる方法としての殺菌において、最も古くから経験的に有用なものとして利用されてきたのが加熱殺菌である.加熱、とくに加圧蒸気を主体とする湿熱の利用は最も確実であって、広く経済的な方法として実用され、食品の殺菌、防腐手段の中核となっている方法である.」(乙第2号証・「食品殺菌工学」光琳全書24、5頁)の示すとおり、古くから周知の殺菌方法であることは明らかであり、この常套の殺菌方法を採用することに、何らの困難はないことはいうまでもない。

その他の相違点に係る構成、すなわち、「一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし」、「次いで水分含量が8%以下になるまで乾燥する」点が、いずれも周知の乾燥食品の製造方法において考慮され、採用されている手段にすぎないことは、被告が挙げる、「食品殺菌工学」光琳全書24(乙第2号証5~6頁)、「食料工業」(乙第3号証1269~1270頁、1275~1277頁、1283頁、1285頁)、「食品科学便覧」(乙第6号証455頁)、「乾燥食品」光琳全書6(甲第10号証190頁、乙第1号証169頁)、特開昭50-6738号公報(乙第7号証)の記載から明らかであり、したがって、審決が、「前記相違点に格別の技術的意義を見いだすことはできない。」(審決書5頁5~6頁)としたことは正当である。

(2)  原告は、引用例との対比において、本願第2発明の効果について主張するが、本願明細書に記載されている「本発明の夕顔食品は一般生菌数が著しく低減し、大腸菌群、サルモネラが陰性であり、栄養分を損わず、水分含量も極めて低く、6ケ月経過後も性状、品質に変化を及ぼさないので極めて有用な食品である。」(甲第2号証明細書17頁14~18行)との効果は、引用例に記載された事項に上記周知技術を適用して本願第2発明の構成を得た場合に当然に予測できる効果であることは明らかであり、また、「本発明夕顔食品は、帯状、板状として、また、粉状、顆粒状、錠剤など必要に応じた形状に調製して食することができる。」(同17頁17行~18頁1行)との効果は、上記特開昭50-6738号公報(乙第7号証)に記載されているところの、根菜類や果菜類に蒸気加圧を施した後、さらに水分6%のような低水分に乾燥して粉砕すると、原料中の本質的な成分がむだなく利用できると同時に、保存性、溶解性、復元性、分散性、加工適性が向上することと同等の効果であり、これをもって、格別顕著な効果ということはできない。

したがって、審決が、「本願発明は、上記相違点によって、引用例記載の発明及び周知の技術から予期しえないような格別顕著な効果を奏したものとも認められない。」(審決書5頁7~10行)としたことは正当であり、これを誤りとする原告の主張は理由がない。

4  以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく、他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらい。

よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 押切瞳 裁判官 芝田俊文)

平成4年審判第5136号

審決

東京都中央区日本橋本町二丁目2番6号

請求人 東京田辺製薬 株式会社

東京都北区赤羽北2丁目33番3号 東京田辺製薬株式会社 研究開発本部特許室

代理人弁理士 松山直行

昭和61年特許願第172792号「夕顔食品及びその製造法」拒絶査定に対する審判事件(昭和63年2月12日出願公開、特開昭63-32458)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

理由

本願は、昭和61年7月24日の出願であって、その発明の要旨は、昭和63年7月4日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみてその特許請求の範囲第1項及び第3項に記載された次のとおりのものと認める。

「(1)一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性、水分含量が8%以下であることを特徴とする夕顔食品。(以下「第1発明」という)

(3) スライスした夕顔果肉を水分含量50%以下に乾燥し、乾燥物を殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、次いで水分含量が8%以下になるまで乾燥することを特徴とする夕顔食品の製造法。(以下「第2発明」という)」

これに対して、原査定の拒絶理由に引用した特開昭57-33539号公報(以下、「引用例」という)には、夕顔の実を薄くむき、乾燥して干ぴょうの水分を20%程度にし、硫黄燻蒸しないで保存する干ぴょうが記載されている。

そこで、本願第1発明及び第2発明(以下「本願発明」という)と引用例に記載された発明とを比較すると、本願明細書からみて、本願発明も硫黄燻蒸を施さない、所謂無漂白の保存性のよい夕顔食品を提供するものであるので、両者の課題は同一であり、後者の「夕顔の実を薄くむき」は前者の「スライスした夕顔果肉」に相当するから、両者はスライスした夕顔果肉を乾燥して水分含量を低水分にした夕顔食品である点で一致し、前者では、水分含量50%以下に乾燥したものを殺菌して一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性とし、水分含量が8%以下のものを得ているのに対して、後者では、殺菌処理を施しておらず、また細菌等の死滅状況についても明らかでなく、そして乾燥処理は殺菌前後の二段階に分けて実施しておらず、乾燥製品の水分含量が20%である点で相違する。

そこで、この相違点について検討する。

一般に、食品の保存方法として殺菌処理の後乾燥手段を施すことはよく知られており、そして夕顔食品である干ぴょうの製造においても、スライスした干ぴょうを乾燥し水分が37~46%になったとき硫黄燻蒸による殺菌・漂白処理を行った後、さらに水分20%前後になるまで乾燥することは本出願前周知(例えば、桜井芳人編「総合食品事典(第三版)」昭和49年1月5日東京同文書院発行、第214頁かんぴょうの項参照)である。また、乾燥食品において、水分含量8%以内においては微生物の生育は起こらず、これによる品質の変化は起こり得ないことも本願出願前周知(例えば、木村進著「乾燥食品」光琳全書6.株式会社光琳書院第190頁参照)である。そうだとすると、上記引用例に記載されているように硫黄燻蒸による殺菌・漂白処理には問題があることから、硫黄燻蒸に代えて蒸気加圧殺菌等の常套の殺菌手段を採用すること、及び、殺菌処理後に水分含量が8%以下になるように乾燥処理を施こすことは、いずれも当業者が容易に想到することと認める。そして、蒸気加圧殺菌等の常套の殺菌手段を施すと微生物は死滅するから、その後水分含量が8%以下になるように乾燥処理を施こすと、一般生菌数が5×103個/g以下、大腸菌群及びサルモネラが陰性になることは明らかである。

以上のとおりであるから、結局、前記相違点に格別の技術的意義を見いだすことはできない。

そして、本願発明は、上記相違点によって、引用例記載の発明及び周知の技術から予期しえないような格別顕著な効果を奏したものとも認められない。

したがって、本願発明は、前記引用例に記載されたもの及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

平成5年7月15日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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